豊洲市場の盛り土は実は不要だった?なぜ盛り土は必要となったのか?
築地市場の移転先となる豊洲新市場、その豊洲市場の土壌汚染対策で主要建物下の盛り土がされていなかった問題。実は、“豊洲市場の盛り土は実は不要だった?”とも言われている。
上図は東京が示した土壌汚染対策・地下水対策の概略図ですが、この図で重要なのは「AP+2.0m」ということころ、これは荒川工事基準面より2m上、つまり大雑把に言えば「海面より2m上」という意味。 ここまで地面を掘り下げて汚染土を除去した後、砕石を敷いている。
なぜそういうことをしているのかというと、専門家が検討した結果「地下水位(つまり汚染水)がAP+1.8mより上まで来ないように管理しましょう」ということになったから。(技術会議で日常的に維持していく地下水位は、AP+1.8mに設定)
水位を下げても毛細管現象で多少上がってきちゃうので、AP+2.0mの位置に砕石(石ころ)を敷き詰めた。 砕石の間を汚染水が毛細管現象で上がってくることはないので、これで汚染水は地下に閉じ込められた。
つまり主要建物下に、盛り土がなかったとしても、砕石層から4.5mもの空間を設けて旧汚染土壌から隔離しているのだから、安全面ではおそらく問題ない可能性が高い。
ではなぜ、豊洲は盛り土をしているのか? それは土壌汚染の問題が発覚する前から盛り土をする計画だったから。
盛り土をした理由は、以前の豊洲の用途は工業地であり港湾なので、船の寄港にに合わせて低い埋め立て地だったのを、市街化するので高潮や津波を考慮して嵩上げすることにしたから。
豊洲の汚染土が問題になったとき、もう豊洲は嵩上げ工事を始めていた。嵩上げに使った土は都内のビル建設などで発生した土で、もちろん汚染がないことを検査してから盛った。それを一度除去して、下の汚染土を掘り出して処理した。
それで、豊洲地域の道路や市場の駐車場などは、高潮や津波に対応するよう計画した地盤まで土を盛らないといけないから、盛り土用に持ち込んだ土や汚染土を処理した土で、盛り土を行った。
でも、建物を建設する場所には、地下空間の床があるから、盛り土を行う必要がない。
ところが都は、“土壌汚染対策が不十分じゃないか” と訴える声に対して、「盛り土をするから安心なんです!」というある意味では安易なロジックを選択して説得する道を選んできました。
しかし、今回主要建物下の盛り土がされていなかったことが発覚し、今までの説明と矛盾していたのだから、どれだけこれから東京都が安全面を確認して説明したところで、都民の理解を得ることは極めて難しくなったと言えるでしょう。