医療用大麻との違いや効能、日本では?産業用大麻と栽培、免許は?
女優・高樹沙耶容疑者の逮捕で注目される大麻について、大麻の成分や種類、医療用大麻や産業用大麻、麻薬の大麻との違いなど、まとめてみました。
大麻草の成分について
日本臨床カンナビノイド(cannabinoid)学会 (JCAC)によると大麻草に含まれる成分は104種類もの化学物質に分類されているそうです。それらの大麻草に含まれる成分は総称として、カンナビノイド(大麻の有効成分)と呼ばれています。
このカンナビノイドの中で主成分とされているのが、「THC(テトラヒドロカンナビノール)」と「CBD(カンナビジオール)」であり、この成分の含有量は大麻の品種によって違い、またその掛け合わせ(交配)によっても変わるようです。
THC(テトラヒドロカンナビノール)は、陶酔や幻覚、多幸感を覚えるなどの精神への作用がありますが、CBD(カンナビジオール)は、精神への作用がほとんどありません。
大麻草の種類について
大麻草を化学種のタイプで分けると「薬用型大麻」「中間型大麻」「繊維型大麻」に分けることができます。
薬用型大麻・中間型大麻・繊維型大麻の違いは、このTHC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)の2つの化合物の割合で決まるそうです。
- 薬用型大麻: THCが2~6%、品種改良により10~20%も有る、CBDをあまり含まないもの
- 中間型大麻: THCとCBDが同じぐらいの量だが、作用としてはTHC作用が支配する
- 繊維型大麻: THC含有量0.25%未満 CBD作用がTHCを打ち消す、煙にして吸い込んでもいわゆる「ハイ」な気分にはならない
産業用大麻とは?栽培するには?
産業用大麻とは、精神作用の主成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が少なく(ほとんど含まない)、CBD(カンナビジオール)が多い品種のことで、一般的に上記の繊維型大麻と呼ばれるものが、これにあたります。
この産業用大麻からは、繊維や食品、油などを採ることが出来ます。
また、世界の各国でも栽培されており、ドイツでは主に建材や繊維製品の材料として活用されています。なかでもベンツ車の内装部には繊維プラスチックが使われており、ボディ自体を繊維プラスチックで製作できないかを検討しています。
カナダでは油や化粧品を作ったり、中国では軍事用に使えないかを研究しており、毎年軍人用の靴下を200万足供給しているようです。
ちなみに、日本の麻はもともと繊維型ですが、「大麻取締法」では、THC(テトラヒドロカンナビノール) の含有率に関わらず、すべての大麻草の栽培が禁止されており、花、葉、若い茎の所持を禁じています。
ただし繊維を採って産業用に利用する「産業用大麻」として栽培するには許可があれば違法ではなく、栽培には、都道府県の知事の発行する免許が必要となっています。
医療用大麻とは?その効能は?日本では?
医療用大麻とは、大麻の主成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含んだ生薬療法、つまり医療用に使用する大麻です。
大麻には鎮痛作用・沈静作用・催眠作用・食欲増進作用・抗癌作用・眼圧の緩和・嘔吐の抑制などの作用・効能があるといわれ、このTHC(テトラヒドロカンナビノール)の配合比率で薬用や薬理作用が異なり、様々な疾患に対し適応のあるものが、医療用の大麻として処方されているようです。
アメリカ合衆国では、腰痛、消耗症候群、慢性痛、末期エイズ患者の食欲増進、ガンの化学療法に伴う吐き気の緩和などに医療大麻が処方されているようです。
ただし、日本では「大麻取締法」により、大麻を医療用に使うことは一切できません。
医療用大麻と嗜好大麻(麻薬)との違いは?
医療用大麻と嗜好大麻、いわゆる違法薬物(麻薬)の大麻との違いについては、同じ天然のハーブで植物的には違いはないが、使用目的が異なるために栽培や取扱いの方法などが少し違っています。
とはいっても、医療用大麻と嗜好大麻と(麻薬)の大麻自体はほとんど同じようなもので、医療用大麻も乾燥大麻として処方され、摂取方法としては喫煙であり、嗜好品(麻薬)としての大麻と同様にパイプにつめてから燃焼させて成分を吸引します。
そのため、医療用大麻といえど、一方は薬理作用を得られるが、一方では(麻薬と同じように)陶酔や幻覚、多幸感を得ることになってしまいます。
ただし、上記の通り、日本では、大麻を医療用に使うことは一切できません。